日本体育協会アスレチックトレーナーとは

日本体育協会ウェブサイトをご覧ください。http://www.japan-sports.or.jp/coach/qualification/medical/m_02.html

トレーナーよりアドバイス 1

弊社には、2010年1月時点で日本体育協会公認アスレティックトレーナー(以下AT)の資格を持つスタッフが4名在籍しています。今後も増えると考えられます。ATになるにはふたつの道があります。ひとつは指定された講座を受講し検定試験に合格するという「養成コース」。もうひとつは適応コース承認校に進学・卒業し検定試験に合格するという「適応コース」。

私(星野)は「養成コース」でのAT受験でした。ちょうど制度改革により教科書がかわった2007年が初受験となります。予想してはいましたが、移行後の初の筆記試験は前年の傾向などまったくあてにならず・・・結果は不合格。しかし同じ条件でも筆記試験をパスした先生方はいらっしゃいますので、そのときは自分自身の勉強不足を痛感し悔しい思いをしました。

ちょうどそのころ私は「『1日30分』を続けなさい!」という古市幸雄さんの本を手にとり、「来年こそはかならず!」と気合いを入れ直して毎日30分の勉強に取り組み始めます。筆記試験をパスするためには、月並みな表現ですが毎日コツコツの努力が必要だと思います。翌年の筆記試験は前年よりも解答しやすい問題が多く、試験が終わった瞬間に手応えもあり、合格することができました。

筆記試験合格者には総合実技試験がおこなわれます。その内容は、急性期、アスレティックリハビリテーション初期、後期の三つのカテゴリーでの質疑応答とテーピング実技。1項目につき9分の時間が与えられ、そのなかで起承転結をまとめなければなりません。そして、どのような問題が出るかわかりません。このままでは試験官を前にして冷静には対応できないな・・・と考えていました。幸い仲間うちで総合実技試験を受ける者が私以外にもいたので、彼と時間を計りながら模擬練習をすることにしました。実技試験対策としては「とにかくシンプルに」を心がけました。知識があったとしてもそれを時間内に試験管に伝えることができなければ意味がありません。シンプルな模擬解答を用意して繰り返し対策をおこなったおかげで、私は落ち着いて試験に臨むことができました。

このような経緯で私はなんとか2009年にATを取得したわけですが、合格したとたん勉強量が減り知識の貯蓄減少が起きます。人間は忘れる生き物とはいいますが、、、たいせつなのは資格をとったあとですからね。とくに同業者からはATとして見られますので、それに伴った言動ができるよう普段から準備しておきたいものです。

また、知識があってもそれをうまく表現できないと宝の持ち腐れになってしまいます。弊社にはATを持たなくともすばらしい説明のできるスタッフが何名か在籍しており、知識力と表現力のバランスが重要であると感じさせられます。どちらが欠けていても現場ではクライアントに納得してもらえません。現在私は「○○さんにはこの傷害のことを聞かれたらこんな感じで説明しようかな…」といったように、クライアントとリンクさせて勉強することがあります。このような方法はスムーズに記憶できるのでお勧めです。

少々脇道にそれてしまいました。さて、持論になりますが、トレーナーという仕事は「ゴールのないマラソン」と例えることができるのではないでしょうか。つねに走り続けないとサービスのクオリティを維持できません。そのなかにおいて、資格取得はランニングの「ピッチ」に相当すると私はとらえています。資格取得をめざしがんばる=ピッチが速まる→タイムが縮まる。。。みたいな感じでしょうか? ただ、ランニングのペースを上げすぎると傷害発生のリスクが高まりますので、そこは自分のコンディションにあわせて管理する必要がありそうです。

AT取得をめざしているみなさん!自分の目標設定タイムを決めて、充分にウォーミングアップをして、ケガがないように走りきってください。

弊社スタッフ・星野 徹

トレーナーよりアドバイス 2

私(城所)がとったのは「適応コース」です。トレーナーを志した高校生のときに日体協ATになるための大学選びを… いいえ、むしろ学部・学科選びで進学先を決めてしまいました。

検定試験を受けるにあたりかなり戸惑ったことがあります。在学中にカリキュラムの改訂があったのです。これによりそれまで2冊だった教本が9冊となり、試験のレベルはかなり上がったのではないかと思われます。結局私は教本のすべての内容を勉強することはできませんでした。ただ教本9冊といっても内容が重複しているところは多々ありましたし、それまで目を通してきた雑誌・書籍がこの試験に役立たないわけではありません。

学科試験「総合論述」においては、教本のニュアンスで解答しなければならないということに注意しなければなりません。いわゆる「教本的には…」ということですね。自分流で書いても評価されないため、アスリハの流れなどはしっかり教本の内容を頭に叩き込まなければならないでしょう。そして、持っている知識をいかに短時間で解答用紙に“出力”するか…という能力も問われます。問題に対して自分なりに答えを出し、頭のなかで構成して紙に表現する必要があります。とにかく、書かねばならない文字数の最低ラインまで時間に余裕がありません。書き始めたら最後までノンストップで、試験終了と同時に力尽きた記憶があります。いっぽう「マークシート試験」は知識量に点数がついてくると思いますので、勉強あるのみです。

学科試験をパスしたら実技試験です。会場では開始前に監督者の方が「ここにいる受験者の皆さんの知識レベルは十分にわかっています。今日は、知識をアピールするのではなく、普段現場でやっていることをみせてください」とおっしゃり、私はその言葉を信じていつも通りを心がけてました。もちろん緊張はしますが、その対応策は、現場で普段から緊張感を持ちながら選手をみることで慣れるしかない…としかいいようがありません。選手をみるときそばに監督やコーチがいれば、自ずと緊張感は出てきます。そういう場を経験することで試験は乗りきれると思います。

試験は“現場力”を評価するということですので、コミュニケーション能力もみられていると考えてよいでしょう。試験官が「この人(トレーナー)なら大丈夫だな、安心だな!」と感じるのは、やはり“堂々さ”があるからではないかと思います。「試験官に見られている」というより、「試験官の皆さん、いまの私を見てください!」ぐらいの心理状態でなければ、緊張感で押し潰されてしまうかもしれません。これから受験する皆さんは実技試験で緊張すると思いますが、現場に出ればさらに高い緊張感が待ち受けています。そこで高いパフォーマンスを示すには、この試験はくぐり抜けなければならない関門といえるでしょう。

かなりえらそうなことを書いてしまいましたが、以上がAT合格のためのポイントではないかと私が感じたことです。最後までお読みいただきありがとうございました。

弊社スタッフ・城所 竜一